はてなスター

いきなりはてなスターが三つもついたので何が起こったのかと思ったら、twitter経由でゆるふわモテ形而上学読書会の人たちが来たんだね。Cian Dorrの”There are no abstract objects”を読んだようだけど、これにはややこしい話がいろいろ混じってるので、あんまり頑張らずに、さらっと読んだほうがいいだろうなあ。僕はドラフトで半分ほど読んで残り流し読みしただけだけど、だいたいCianの書くものは何でも難しいんだよね。一番凶悪なのは”Non-symmetric Relations”。本人に「ありゃ難しくて訳分かんなかったよ」と言ったら、「僕の書くものはほとんどドラフトみたいなもんだから…」とか言われたのを憶えている。思わず突っ込みそうになったが、うまく英語が出てこなかったので笑って済ませた*1。だから、あんまり必死に理解しようと頑張るのは無駄な気がする。でもま、若い人たち形而上学について勉強するのはいいことです。Contemporary Debates in Metaphysics (Contemporary Debates in Philosophy)は、専門家むけではあるけれど、いい論文集だしね。

*1:ちなみに、これはこのときのTedの家での会話。

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続報

前回、Jim Stoneが四次元主義から矛盾が生じると主張した論文について書いたが、似たような趣旨の別論文を見つけた。

Jim Stone, (2007), "Persons are not made of temporal parts," Analysis, 67, 7-11.

今回の「矛盾」は単純化すればこう。ある人(以下P)がt時に「自分は時空ワームだ」と思ったとする。四次元主義によれば、ある人がt時にpと信じていることは、その人のt時における時間的部分がpと信じていることにほかならない。したがって、このとき、Pのt時における時間的部分(以下S)がまさにそれと同じ信念(「自分は時空ワームだ」)を持っていることになる。しかし、Sが持つ「自分は時空ワームだ」という一人称信念とPが持つ「自分は時空ワームだ」という一人称信念は同一ではない。なぜなら、前者は偽なのに後者は真だから(前者の「自分」の指示対象は時間的部分)。つまりSは誤った信念を持っていることになる。すると、Pも同様に誤った信念を持っていることになるだろう。でも、Pが持つ「自分は時空ワームだ」という信念は(四次元主義が正しければ)真だ。こうして、Pは「自分は時空ワームだ」と誤って信じており、かつ正しく信じていることになる。つまり、Stoneによれば、四次元主義から、ある人が真な信念を持っており、かつそれと同一の信念なんだけれども偽であるような信念を持っていることが帰結する。

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一歩前進

いつのまにやら今年は少なくとも三回学会発表することになってしまった。こんなに授業準備で忙しいのに…。ま、自業自得だけど。

ところで、ようやく穴と境界―存在論的探究 (現代哲学への招待)を入手。非常に加地先生らしい本で素晴らしい。特に、多レベル存在論をあっさり受け入れているところなんか、「らしい」としかいいようがない。『四次元主義の哲学』はえらい違いだ(←と、こっちも宣伝しておく・笑)。

しかし、もっと重要なのはendurance/perduranceの訳語。なんと「耐続・延続」が採用されている。よしよし。この訳語が定着する日は近いな。

ところで、あとがきを見て思ったんだけど、FROGってやっぱり無くなったの?いやま、僕もメンバーだから(それもたぶん最後の)、もう長いこと活動してないのは知ってるんだけれど。

Rutgersの記事

例によってLeiter Reportsをチェックしてたら、最近の若者は哲学専攻を選ぶ傾向にあるというニューヨークタイムズの記事が紹介されていた。ちなみにJason Stanleyのポスト。読んでみたら、Rutgersの話。これはJasonの宣伝かい?(笑)

冒頭の黒板の前でしゃべってる兄ちゃんの写真。これは明らかに哲学科のセミナー室だ。懐かしい。その下の写真に写ってるのは学部生の授業をする部屋かな。ここはあまり縁が無く、John HawthorneのセミナーがJohnのスケジュールの関係で曜日をずらしたことが一度だけあり、そのときにほかの授業と重なってしまったのでこの部屋でセミナーが行われたことがあった。そのとき入ったことがあるだけだな。でも、建物に入ってすぐそこの部屋なので、毎日のように通り過ぎたな。「Philosophy of Japanese Films」とか謎の講義が行われていたのを思い出す。あれはいったい誰が講義してたんだろうか。聞いておけばよかった。記事中でも、Barry LoewerやらFrances Eganやら、当時何度も見た人の名前が挙がっている。

記事の内容も、具体的な数字が挙げられていたりしてなかなか説得力があり、日本の大学関係者にもぜひ読んで(そして哲学者をいっぱい雇って)ほしい内容になっている。納得できないのはただ一点。インタビューされた学生がこう言っている:

“It’s good for getting girlfriends.”

それだけは無いな。残念ながら。実際アメリカでもそうなんじゃないかな。詳しくは知らないけど。

Another divergence to an intruderさん更新終了

さようなら、よい旅を。

行けるものなら僕も送別会に行きたかった。分野の違いはあるものの、なんやかんやで顔を見る機会がちょくちょくあったのに、結局一年前のBenoistシンポジウムが最後になるのか。今後もずっとそういう機会があるものと思っていただけに、ちょっと寂しい。

若手フォーラムや学会のおかげもあって、僕には日本中のあちこちに知り合いがいるが、ほとんどの人とは哲学という細い糸でつながっているだけなので、どちらかが辞めてしまえばもう会えなくなってしまう。実際、もう連絡先も分からない人がたくさんいる。みんなどうしてるんだろうか。元気でやってるんだろうか…。

うれしいこと

今日は体調が悪い中、Bob Haleの講演を聞きにいってきた。詳細は書ければいずれ書くが、とりあえずBob Haleがとてもいい人だったということは記しておきたい。話もおもしろかった。しかし、それ以上にうれしかったのは、懇親会でDさんからあることを教えてもらったこと。まだ僕のところへ連絡がないのはちょっと変なんだけれど(三月上旬には連絡があるはずだったが、もう下旬…)、そんなことはともかく素直にうれしい。もっとも、実質的には何が変わるという訳でもない。でも、人から評価を受けると、がんばろうという気になるよね。

追記。正式な通知がきた。Dさんが連絡とってくれたんだろうか。