日本語の読書案内・その4

明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願い申し上げます。

年が変わったことは、これぐらいでさらっと流して前回の続き。
〈第4章:神に関して〉

この章は本書の中で一番大変な章かもしれない。神が実在するかどうかについての章だから。いかにも分析哲学といった感じのちまちまとした議論が続くので、そういうのに慣れてる人orそういうのが好きな人なら面白く読めるかもしれないけれど、そうでない人にとっては、つらいんじゃないかなあ。でも、議論がひとつひとつ取り上げられていくので、話の区切り目ははっきりしている。だから、「それは一理あるな」と思った議論のところだけ読んでいってもいいかもしれない。

哲学の教科書にこういう章が入るのは、日本とアメリカの大きな違いだと思う。実際、アメリカでは宗教哲学*1はかなりさかん。ここで書かなかったけれど、僕がアメリカに行ってすぐの頃、PrincetonでDean Zimmermanの講演があるのを知った。これは行かねばと思ったら、内容が三位一体についてのものだったので慌てて行くのをやめたことがある。よく考えれば、DeanはNotre dameの出身の形而上学者なわけだから、宗教哲学に詳しくても何の不思議もないんだよね。

さて本題の読書案内。でも、僕自身はまったくこっち方面には無知なのでなかなかむずかしい。ちょっと人に聞いてみたところ、入門書としてはやっぱり『「神」という謎―宗教哲学入門 (SEKAISHISO SEMINAR)*2がいいらしい。まあそうだろうね。

*1:日本の大学でいう「宗教哲学」ってほぼ宗教思想のことだから、アメリカでいうphilosophy of religionとはだいぶ違う。分析的神学といったほうがニュアンスが伝わるかもしれない。

*2:新版が出てるのをすっかり忘れて旧版にリンクしてたので、ご指摘を受けてリンク先を新版に変更しました。