日本語の読書案内・その3

とかなんとか言ってるうちに、もう大晦日だよ…。とりあえずちょっとだけでも進めておきます。
〈第3章:時間に関して〉

この章はいいよね。誰に聞いてもこの章の評判はいい。この章だけ別のアンソロジーに入ったってのもうなづける。おすすめ。

一方、読書案内を書く身にとっては、この章はめんどう。時間論の本は多いので、どれを紹介すべきかはけっこうむずかしいからね。とりあえず、『時間論の構築』は挙げておこう。

時間に関する哲学的問題はたくさんあるから、そのうちのいくつかを論じるだけで何冊も本が書けてしまう。でも、この本は問題について論じて終わりではなく、タイトルにもあるように、時間そのものを「構築」している。特に時間のように様々な分野に波及する問題については、個々の問題に答えを出して終わりではなく、体系的・包括的な回答を目指していかないと堂々巡りになりがちなので、こういう姿勢でやっていかないと前に進まないと思う。ただまあ、もうちょっと読みやすい本なら良かったんだけどねえ。

あと、毎度のことながら、『四次元主義の哲学』。特に第二章は分析哲学の時間論の状況がわかるようになってるので、そういう意味で参考になると思う。

ほかにも『タイムトラベルの哲学―「なぜ今だけが存在するのか」「過去の自分を殺せるか」 (講談社SOPHIA BOOKS)』とか『時間の本性』とか、とにかく時間論の本はいろいろあるので(中島義道大森荘蔵のもあるしね)、とりあえず手にとってみて、読みやすいものを読めばいいんじゃないかな。