Tyler Burge講演

今日のdepartment colloquiumはTyler Burge。さすがに座る場所がなくなるほど盛況。Burgeは、見た目はいかにも大学教授という感じの上品な紳士。驚いたことに、準備してきた原稿を読み上げる形式だった(ちなみにハンドアウトもなし)。アメリカに来ていろいろ講演を聞きに行ったけど、日本みたいに原稿を読み上げる人は初めて見た。

例によってどれだけ聞き取れたが怪しいが、とりあえず、内容の主観主義とやらを批判していた。これは、知覚的内容が主に主体の何らかの能力によって決定されるという立場で、Kantに始まり、Strawson、Evans、彼らと全然違う立場だけれどQuine、あとはPeacocke。他にもいろんな名前が挙がっていたが(Neokantian全部とか言ってたような)、これは後のDean Zimmermanの質問で明らかになったことだけどRussellも含まれるみたい。で、anti-individualismの代表者であるBurgeはもちろんこれを批判する。Burgeの戦略は、最近の心理学の進展を見ると外在主義的な立場の方がもっともらしいことに訴える。

三分の二ぐらいかけてKant、Strawson、Quineの立場をそれぞれ解説して、残りで心理学の話を出していたが、具体的に心理学の話がどう効いてくるのかはよく分からなかった。まあ、どういう議論の文脈なのかも理解してなかったからだと思うが。それにしても知覚的内容の話は、いつも分かった気がしない(昔読んだPeacockeの論文がトラウマになってるのかも知れないけど)。