NYUに行ってきた(11/21に更新)

この辺の大学は、どこも月一か月二でコロキアムをやっている。曜日は固定されてて、Rutgersなら木曜日。CUNYは水曜日、PrincetonとNYUは金曜日、てな具合。だから11/18にNYUで講演があるのは知っていたが、Laurie Paulって誰やねん、てな感じだったので行くかどうか悩んでた。すると、直前になって題目がアップされ、それが何と「Material Coincidence」。こんなメタフィジックスばりばりの講演をするなんて、いったいどんな人なんだろうと思って検索してみたら、何のことはない、L.A. Paulのことだった。知らんかったよ。ともあれ、某氏のCAPや科哲の発表に関係するかなあなんて思いつつ、ニューヨークへ向かった。

ペン・ステーションからブロードウェーをのんびり下ってNYUへ。NYUは、いかにもニューヨークの大学という雰囲気。というか、テレビや映画で出てくるニューヨークの大学のモデルなんだろう。哲学科もビルの一角にこじんまりとたたずんでいた。

5分ほど前に部屋に入ったら、結構すいていて好きな席に座れたが、そのあと、どんどん人がやってきて椅子が足りないほどに(というか、部屋が狭い)。そしてEliza Block(だと思う)の司会で始まる(ちなみにNed Blockは見かけなかった)。

L.A. Paulはかなりの早口。そして語尾に「right?」をつける癖がある。でも発音がはっきりしてるので聞き取りやすい。講演の内容は、Coincidentな対象は同一ではなく(様相的)性質が異なる対象だという立場を擁護するもの。そのために彼女は、対象を性質のメレオロジカルな和とみなす一種のbundle theoryを採用する。つまり、銅像と銅塊(なぜだかAthenaとLumpという例を使っていた)はNon-modal coreを共有しているが、銅像そのものはNMCと銅像にとって本質的な性質(高さや美的性質など)のfusionであり、銅塊はNMCと別の様相的性質のFusionだそうだ。もちろん、任意の性質の和を認めてしまうと変な対象がいっぱいできてしまうので、何らかの形で制限する、らしい(詳細の説明はなかった)。最終的に、銅像と銅塊はMaterialにはCoincideしているが同一ではないと結論できる(これは、心的状態は物理的状態とNMCを共有しているが同一ではない、というような展開も念頭に置いているようだ)。

実際に質問されていたが、この立場には、様相的性質をどう規定するのかという問題がある。彼女はDavid Lewisに言及して説明していたが、Lewisのように対応者理論を使うためには対象が(なにかしら)規定されている必要があるので、説明が循環してしまう。また、NMCと様相的性質は区別されなければいけないので、非様相的性質に依存するような説明も使えない。NMCはUniversalらしいので、やはり何らかの方法で様相的性質を還元することになるんだろう。大変そうだ。

しかし、実は内容よりも参加者が印象的だった。司会のEliza Blockはずっと編み物してるし(でもきっちり質問してた)、奇妙な身振りでやたら態度のでかい人だなあと思ったらPeter Ungerだったり。ほかにも、Kit FineやThomas Nagel(だと思う)が熱心に質問してた(Fineは思ったより優しそうだった)。