Mereology, Topology, and Location二日目

もちろん今日もMTL。昨日、なかなか寝つけなかったので、寝過ごす。20分遅れぐらいで家を出たものの、会場が初めて行くホールだったせいで、勝手に間違ったところに行ったと思い込んで周りを歩き回ってしまい、結局30分遅れで会場に入る。ダメダメ。
今日の一発目はNed Markosian(余談だが「マーコウジアン」と読んでいいみたい)で、タイトルは「Decomposition」。compositionの問題とそれに対する様々な説をやたら定義して検討していた。もっとも、こっちが遅刻し、しかも時間が足りなくなって1/3ぐらいすっとばしてしまったので、議論の詳細はいまいち不明。記憶に残ったのは、Kit Fineの発言で、「定義はより基礎的であるかどうかの順序を与える」みたいなのがあったこと。つまり、定義は分析や明確化のためだけのものではなく、概念のオーダー(階層じゃなくて順序)を与えるものだということのよう。Fineはセミナーや昨日の講演でも関連したことを言っていたが、このへんはどうも僕の琴線に触れるらしい。

お次は、Kris McDaniel。Armstrongの部分概念の複数主義についての報告といった感じだった。Armstrongの存在論においてメレオロジーの部分概念とそれとは別のstructure-makingの部分概念がどういう働きをしているか、いろいろ検討していた。でも、誰かの質問に対して、「やっぱりなんだかよく分からないんだよね」みたいな返答をしてたけど。なんかそういうキャラらしい。この日最後のJonathan Schafferの講演でも、McDanielが「はずしてるかもしれないけど」と前置きして質問しようとしたら、Schafferから「いつものことだろ。お前の言うことなんて誰も信じないじゃないか」というツッコミを受けていた(言わずもがなだが、もちろん冗談で)。

お昼は、去年の秋から一緒に一年Visitorをやってた旧知のAnders StrandとLeesunの三人でトルコ料理の店に行った。最初は韓国料理に行くと言ってたが、のこのこ歩いているとFineやZimmermanに連れられたNYUの院生一団と合流しそうになったので、それを避けるために手近に店に入った。Leesunは来たことがあるらしくインド料理だと言っていたけど、絶対トルコ料理だった。第一、頼んだのケバブだし。

で、食べながら、この日の講演について話をしていて、Fineの見解は興味深いみたいなことを言おうとしたらうまく言えず、いろいろしゃべってるうちにだんだん英語がぐちゃぐちゃになってきて落ち込む。以前からAndersは僕が思いつきで言うことを根掘り葉掘り聞いてくれるので、彼としゃべるのは楽しいんだが、会話の後はいつも、謎の英語につきあわせて申し訳ないという気になる。

さて、午後一発目はJosh Parsons。スケジュールではタイトル未定だったので、何の話をするのかと思いきや、その名も「Hud Hudson's theory of location」。実は昨日のHudsonの講演は、来年のOxford Studies in Metaphysicsに入る予定のJosh Parsonsの「Theories of location」の道具立てを利用してのものだったんだけれど、このJosh Parsonsの講演はHudsonのlocation概念を批判的に検討してた。こういう活発なやりとりが頻繁にあるのはアメリカの(いや、もうParsonsはニュージーランドに帰ってるけど)うらやましいところだ。

さて、正直Hudson批判はあまり憶えてない。逆に鮮明に憶えているのは、様々なlocation関連概念とメレオロジーとの関係。まず、主なlocation概念はどれも、どれかひとつ(どれでもいい)を原初概念にすれば、残りはそれと部分概念とで定義できる。メレオロジーの関連概念も、どれかを原初概念にして他を定義できるので、このことは、両者の関係がとっても根深いことを表してるように思う。

今日の最後はJonathan Schaffer。正直、これまで彼の論文は読んだことがないような気がするが、この講演はとっても印象的だった。要は、対象と時空領域の同一視する一元論の擁護なんだけれど、ポイントがすべてシンプルかつ適切にまとめられていた。特に、印象的だったのはlocationによる議論。対象のあいだの部分全体関係はそれぞれが占める時空領域の部分全体関係と合致するが、これは一元論では当たり前で何の説明も要しない。ところが、二元論ではlocation関係を導入し、それがどういうものかを示す必要がある。このため、multi-locationやら、昨日Hudsonが論じていたomniprsenseやらを考慮するはめになる。でも、直前のJosh Parsonsの講演からも分かるように、location概念はメレオロジーと密接に繋がっているはず。言わば、二元論者には説明しなければならない(あるいはbruteな)謎がいっぱいあるわけだ。もちろん、一元論にもいろいろな問題点があるわけだが、少なくとも僕の目には、一元論の魅力と二元論の見込みの薄さを明確に示してくれたように映った。

とまあ、この日も、いや、前日以上に楽しい一日だった。もうかなりエネルギーが切れかけているけど、明日も楽しみだ。