日本語の読書案内・その2

年末なのになぜかなかなか更新できないな。このペースだと、いったいいつになれば読書案内が終わるのやら。

とりあえず、今日は第2章。
〈第2章:宿命論に関して〉

この章はこの本の最初の山だと思う。というのも、「議論」の概念が登場するから。議論(「論証」と訳した方がよかったような気がいまでもしてるけど)は、個人的には哲学の中心概念だと思ってる。主張されていることがどういう議論に支えられているかを検証することが哲学の基本作業だと思うので。というわけで、この章では前提1とか前提2とかがやたらと出てくるので慣れていない人にはしんどいと思うけれど、こういう細かい検証作業は哲学の大事なところだから、なんとか頑張ってついてきてほしい。まあ、もうちょっと楽しく書いてくれればいいのに、という気はするけれど。

宿命論については、時間論や偶然性との関係で、入不二さんが最近いろいろ書いてるらしい(入不二さんは「運命論」と訳してるけど)。例えば、『時間と絶対と相対と ―運命論から何を読み取るべきか (双書エニグマ)」とか。もっとも、入不二さんのやっていることは、正直なところ僕にはピンとこないけれど。

真正面から宿命論を取り上げている本はそれほどないような気がするけれど、時間論の本で宿命論を扱ってるものは少なくない(じっさい、この章の次の次の章が時間についての章なのは偶然じゃないと思う)。ただ、時間論の本は次の章で紹介すべきなので、ここでは一冊だけにしておこう。『なぜ私たちは過去へ行けないのか―ほんとうの哲学入門 (魂の本性)』の第一章は、時間論というよりも宿命論についての章だと言っていい。ちなみに、僕からすると、加地さんの主張はほとんどどれも間違ってる(笑)*1。でも、加地さんの考えはよく分かるし、なにより面白い。第二章は宿命論でも時間論でもないけれど、やっぱり面白いんだよね。できれば加地さんのほかの本も紹介したいところだけれど、『形而上学レッスン』の読書案内としては難しいかなあ。

*1:おそらく向こうも、こっちの主張はどれも間違ってると思ってるはず(笑)。